ヒアルプロテクト

中間分子量ヒアルロン酸配合ドクターズコスメ

中間分子量ヒアルロン酸とは

このページは行政指導に従い削除しました。解説は↓こちら。

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厚生労働省から名古屋市を介して下記のような指導がありました。

指導表
ヒアルプロテクトは分子量10万付近の「中間分子量ヒアルロン酸」を2%配合した化粧品です。私は皮膚科専門医です。なぜ私がこれを作製・販売するに至ったかというと、この指導票に記されているような学術論文が2012年にスイスのジュネーブ大学皮膚科から報告されたからです。指導票に記されたような問題解決のために有用だと考えて、市販のヒアルロン酸含有化粧品の中に、この分子量サイズのヒアルロン酸を用いたものがないか、片っ端から問い合わせてみました。しかし、このサイズの分子量のヒアルロン酸を原料としているものが見つからなかったのです。それで自分で作って社会に提供することにしました。 指導票には、その論文へのリンクをこのサイトに貼ることは薬事法に違反するとの見解が記されています。
自ら深く調べたいという消費者にとっては有益な情報提供であり、Pubmed(医学論文の検索サイトです)への直接のリンクですから、知識の少ない人を誤解させて過度な期待を与えるものとも思えません。決して納得してはいないのですが、「李下に冠を正さず」の例えもあります。ここは素直に行政指導に従いたいと思います。

ちなみに仮に指導に従わない場合、どのようなことになるのでしょうか?厚労省の担当部署(厚生労働省医薬生活衛生局監視指導麻薬対策課)に直接電話して確認しました。株式会社深谷の場合、化粧品(ヒアルプロテクト)の製造は外部委託ですから、製造免許取り消しという行政処分の対象にはなりません。名古屋市を介して(こういった場合の指導は会社の所在地である名古屋市が担当するそうです)、根気よく指導していくしかありませんね、とのことでした。
ですから、論文へのリンクを外した理由は処分を恐れてということではなく、こんな些細なことでこれ以上労力を費やすのは、私にとっても行政にとってもつまらない、ということからです。
単にリンクを外しただけだと、なぜ外したのか理由がわからないでしょうから、解説しています。

「お客様の声」についても同様で、これはヒアルプロテクト販売開始して間もなくの頃に、アトピー性皮膚炎の患者さんでもあるユーザー41名からアンケートを回収してまとめたものです。☆1つから☆5つまでで評価してもらった結果は下記のようでした。

ステロイド使用中のお客様
ステロイド使用中のお客様
ステロイド不使用/使用中止中のお客様
ステロイド不使用/使用中止中のお客様

回答とともに寄せられたメッセージ全員分をそのまま、肯定的なものも否定的なものも全文掲載していました(否定的なメッセージは、どういう症状の皮膚に向かないのか、という有益な情報になるからです)、厚労省の見解によれば、このうち肯定的なメッセージ中の一部の文言をそのまま掲載することが、薬事法違反になるとのことです。
該当する文言部分だけを黒ベタで塗りつぶせば良いようです。しかしそんな不自然な「お客様の声」もありません。ですから、いっそ全部を削除することにしました。

ところで指導票にある「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(旧薬事法)第68条」は下記のような内容です。

(承認前の医薬品等の広告の禁止)
第68条 何人も、第14条第1項又は第23条の2第1項に規定する医薬品又は医療機器であつて、まだ第14条第1項若しくは第19条の2第1項の規定 による承認又は第23条の2第1項の規定による認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。

ヒアルプロテクトは化粧品として届けていますから、仮に指摘のような内容が問題になるとすれば、私は第66条だと考えます。

(誇大広告等)
第66条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

厚労省および名古屋市の担当者には、ヒアルプロテクトが承認前の医薬品に見えたのでしょうか?あるいは、虚偽も誇大なことも書いていませんから、66条は難しい、ならば68条、と考えたのかもしれません。
これは、皮肉でも何でもないのですが、ヒアルプロテクトを医薬品並みに扱ってくださって、ほんの少し嬉しかったです(本当です)。ありがとうございました。
私も自分が製薬会社のオーナーだったら、ヒアルプロテクトを医薬品として世に出したいんですけどね。残念ですがそこまでの資金力がないので、化粧品止まりです。医薬品としての認証を受ける予定はありません。世の中、真に有用なものが医薬品になれるわけではありません。製薬会社が費用対収益を考えて投資に見合うと判断されたものだけが晴れて医薬品となります。中間分子量ヒアルロン酸の場合は、ジュネーブ大学の報告を受けて、フランスの会社が、ステロイド外用剤に添加するという特許を取得しました。しかし未だ製品化されてはいません。そのような製剤を売り出すということは、ステロイド外用剤の負の側面を強調するだけで、収益にはつながらないと経営陣が判断したのかもしれません。

もう一点、最近Yahooのフロントページに、下記のような製品の広告が現れることが多いです。

広告

もしも当HPの「文献へのリンク」や「お客様の声」が68条に抵触するということであるなら、こちらのほうが、違反の度合いは強いと思いますがいかがでしょうか?それは、

1) Yahooのフロントページという不特定多数の目に触れやすいところに、多額の広告料を支払って掲載している。ヒアルプロテクトは自社サイト内における解説であって、これをYahooなどの有料サイトにバナーなどでリンクしてはいません。

2) ヒアルプロテクトでは「ステロイド外用薬によって皮膚が薄くなる副作用を防止する効果」が記載されている学術論文へのリンクが問題視されていますが、上記広告では「アトピー性皮膚炎」という病名を堂々と挙げています。ちなみに「ステロイド外用薬によって皮膚が薄くなる副作用」は病名ではありません。健常人でもアトピー性皮膚炎の人でも、連用すれば必ず生じてくる生理学的な皮膚の反応です。病名そのものに言及しているという点で、上記広告のほうがより問題視されるべきと私は考えます。

上記の広告はYahooのフロントページのいちばん目立つところにかなり長期間貼られていましたから、厚労省や名古屋市の担当者の目に一度も留まらなかったとは思えません。にも関わらず、今回ヒアルプロテクトが行政指導の対象となったというのは、少なくとも担当者の方たちがネット上をパトロールしていて見つけたということではないということです。名古屋市は担当部署であって厚労省から指示があった話のようなので、誰かが厚労省に働きかけたのでしょう。
実はこの行政指導、約一年前から来ています。当初は、最初に掲げた理由で、取り合わずにいたのですが(行政指導というのはあくまで指導であって、行政の見解が絶対的に正しいという保証はありません)、あまりしつこいので(働きかけた方がよほどしつこいんでしょうね)、互いの労力の無駄な浪費を考えて、今回、行政指導に従うことにしました。
以上、解説でした。また続報があったらここに追記していきます。

平成28年10月26日  
株式会社深谷代表取締役 深谷元継 (日本皮膚科学会認定皮膚科専門医)


(11月1日追記)
上記のカルピス社の乳酸菌の件がどうにも気になります。そこで、下記のような問い合わせを厚労省にしてみることにしました。
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厚生労働省医薬生活衛生局監視指導麻薬対策課 御中
460−0012 名古屋市中区千代田5−20−6
鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継
謹啓
小生は名古屋市内で開業する医師ですが、最近YAHOOのフロントページにて、カルピス社の下記のような広告を目にすることが多いです。 このバナーおよびリンク先サイトは、医薬品医療機器などの品質有効性および安全性の確保に関する法律68条および健康増進法第32条に抵触すると考えますが、行政指導はなされているのでしょうか? ご回答お待ちしております。よろしくお願いいたします。 平成28年10月28日     謹白
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2003年12月12日の日経メディカルの記事「【専門記者の目】 食品のエビデンス発表は「より厳密に」 花粉症対策品の記者発表で気になったこと」(→こちら)にカルピス社の乳酸菌発表当時の話が記されています。これを読むと、この問題は業界にとってかなりデリケートなものであることが解ります。 はっきり断っておきたいのですが、私はカルピス社の乳酸菌や、その宣伝広告内容が問題だとは思っていません。
1)なぜ、大々的に宣伝広告しているカルピス社が放置で、うちに行政指導が来たのか?
2)私が厚労省にこのような手紙で問い合わせたときの厚労省の動きはどうなのか?(カルピス社に行政指導はなされるのか?)
に関心があります。

この問題のいちばん良い解決法は、ヒアルプロテクトにしろ、カルピス社の乳酸菌にしろ、有用性を示すデータや根拠となる論文の紹介を禁じるのではなく、そこは自由にして、そのうえで「医薬品としての厳密な評価がなされて医薬品として認定されたものではありません。あくまで化粧品・食品です」という一文を明記させることだと思います。この点における厚労省の法の解釈・運用が妥当とは言えない、と私は考えます。
皆さんはどうお考えになりますでしょうか?